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宵摘草

つらつらと、心のおもむくままに
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臨場



 異名は「終身検死官」という男、倉石。誰もが自殺や病死と疑わない案件を「殺人」と見破り、殺人の見立てを「事件性なし」とくつがえす・・・。組織に与せず、己の道を貫く異例の男です。
ちなみに「臨場」とは事件現場に臨み、初動捜査に当たることを指す言葉だそうです。

 これはその倉石が活躍するいくつかの短編をまとめた本です。8編納められていて、それぞれに主人公というか語り口となる人物は違うのですが、どの作品にも倉石が「臨場」に出て事件の解決となっていきます。
不倫の果てに別れた愛人が殺害されてしまって渡した名刺をまだ愛人が持っていたらどうしようかと焦る捜査官の話「赤い名刺」、特ダネをスクープするために警察の班長宅を張り込む夜討ち、朝駆けをしている記者の張り込み最中に起こった密室殺人「眼前の密室」、男のマンションで一回り年の離れた女が男を道連れに無理心中する話「鉢植えの女」、まもなく定年を迎える刑事部長の元に毎年届いていた差出人不明のハガキがふと途絶えた時、刑事部長の頭に倉石の名が浮かぶ。倉石によって結びつけられたハガキの差出人との縁とは・・・「餞」、検事局に入局した一人の女性が変死。先輩検事二人はお互いに女性への恋心を抱いていたことから疑心暗鬼に陥る。そんな二人に倉石が出した結論は「自殺」。彼女に何が起こったのかを過去から探る「声」、強盗殺人の自白をした男がシロだと判断した倉石に会って話しを聞こうと夜の繁華街を歩きわたる刑事一課長、佐倉が知った血液型に関する新事実「真夜中の調書」、何ヶ月かだけ警察関係者だった女性が死亡した。自殺と思われるが何かを調べたかった倉石は「他殺」と指示を出す。しかし、捜査員は自殺であるのを疑わず、それでも尚「彼が何を納得したいのか」を察知して黙々と捜査する。「黒星」、十七年毎に札付きの悪人が殺害される話「十七年蝉」


 個人的に胸がわあーっと熱くなって感動したのは「餞」でした。
倉石という男に惚れました!!倉石の活躍する作品、もっともっと読みたいし、長編でも読んでみたいです!!


 「臨場」   横山秀夫

 光文社文庫  
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京都 お守り手帳


 ちょっと変わった本を見つけました。

 京都にある寺社で買えるお守りの紹介の本。


 お守り好きな私は、オールカラーなこの本に飛びつきました!!
お守りって、その神社などによって色んなのがあるんですよね~。お守り袋も様々で、集めるのが楽しくなってきます。



 色々とカテゴリー分けされていて、「フラワーモチーフ」とか「平安調」とか「生物モチーフ」とか。


遅咲きの桜で有名な仁和寺のお守りで、桜の花の形の物がありまして。可愛いんですよ~。
交通安全はどこにでもあるんですが・・・「飛行守り」ってのもあるんですね。飛行機に乗る前に是非。
縁結びもあれば縁切りも?!これはしつこい異性に言い寄られて困っている、あるいはどーしようもない異性との腐った縁を切りたい!!って方は是非、行ってみる価値あり!?
・・・あ、こういうのもありました。水の神様がおられるという「貴船神社」には釣りに使うルアーが使われた ルアーお守り。魚がいっぱい釣れるのか、はたまた魚に逃げろと教えるのか(笑)

 これをチェックしてから京都に出かけてみるのも楽しいですよ~。




「京都お守り手帳」 光村推古書院

 104ページ オールカラー 変形版

おぞましい二人

 

 なんつータイトル・・・。

 エドワード・ゴーリーという作家の絵本のようなもので、木版画のイラストで綴られていくシリーズ。ゴーリーの絵本は人気が高いそうですね。以前に書店で、そんな人気作とは知らずにパラパラと手にとって見たことがありましたが、何ていうか・・・韻を踏む文章やフレーズで書かれているそうで。でも日本語に訳してると思わず「ぶふっ」と吹き出すような言葉が出てきていて、立ち読みするにはかなりの覚悟が必要です。



 これはそんな中でも噂に聞いて、ずっと見たいと思っていた作品で、「ゴーリー最大の問題作?」とも書かれてるくらいの題材なわけです。ここに出てくる主人公、ハロルドとモナは、ひらたく言えば連続殺人鬼カップルです・・・。実際に起きた事件の犯人に、ゴーリーは強く興味を示して、この作品が仕上がったそうですよ。
(1965年に発覚したムーアズ殺人事件。イアン・ブレイディとマイラ・ヒンドリーのカップルが4年にわたって5人の子供を殺害。マイラは2002年に心臓発作で死亡。イアンは服役中)

 題名に比べると、実際にあった出来事をたんたんと綴っている感じで、さほどむごさは感じないんですが、二人がたんたんとしすぎて怖いというか、うすら寒いというか。ゴーリーが何に惹かれて、何に反感を覚えたか・・・。こういう事件を起こす二人を調べていき、どうしようもなくその過程を描きたかったそうです。う~む。その気持ちは分からなくもない私はゴスかもしれない・・・。




 「おぞましい二人」 エドワード・ゴーリー

 河出書房新社  変形版  



 ちなみに・・・他の作品はこちら
「ギャシュリークラムのちびっ子たち」
「うろんな客」
「優雅に叱責する自転車」
「不幸な子供」
「蒼い時」
「華々しき鼻血」
「敬虔な幼子」
「ウエスト・ウイング」
「雑多なアルファベット」
「キャッテゴーリー」
「弦のないハープ」
「まったき動物園」
「題のない本」

Q&A



 郡下郊外の大型商業施設で重大死傷事故が発生。死者69名、負傷者116名・・・原因は未だ特定できず・・・。
多数の被害者、目撃者に話しを聞くが、ことごとく食い違いいっこうに原因には至らない。
一体、原因は何だったのか・・・?




 丸々一冊、質問とそれに回答するというQ&A方式で書かれています。色んな人に話を聞いていくうちに、おぼろげながら見えてくる真実・・・と思いきや、ん?また話が別方向に転がっていってますけど・・?


 結局、原因解明一歩手前にて突然終わるのですが、この方の作品はラストに「だからどうなのよ」という終わり方するものが多い気がします。
決して嫌いな文章ではないのですが、ラストのオチというか終わり方がフェードアウトすぎて・・・「そんなうやむやで終わるのか!」という気分にさせられるので損な感じ。
途中まではすっごく面白いのになあ・・・。




 「Q&A」    幻冬舎文庫

  恩田 陸



ちなみに解説は 森川嘉一郎 氏

祝山

 ホラー作家・鹿角南(かづの みなみ)のもとに旧友からメールが届く。とある廃墟で「肝試し」をしてしまってから、不可思議な現象が続いているという。気乗りしないまま会う事になったが、自分もその怪異に巻き込まれてしまう・・・。





 ホラー作家、加門七海さんの文庫書き下ろし作品です。実体験をもとにして作られた作品、ということで、こういう廃墟が実際あるんでしょうかね。近畿の山に廃墟があって、そこは「出る」とかいうのも加門さんも言ってましたが、ここはそれとは違うような気もしますが・・。

 何にしろ、この作品は中盤くらいから「ゾクリ」感があります。
問題の廃墟のある山の名前「祝山」のほんとうの由来とか。ここで書いちゃうとネタバレになるんで書きませんが、この部分が一番「ゾクリ」とさせられるんですよ。加門さんの他の作品を何作か読んだ事がありますが、これが一番「怖ッ」と思わせられました。


 もう、怪談の時期はすぎましたが、ヒヤリとするにはもってこいの一冊です。








 「祝山」   作者 加門七海     光文社文庫

  
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樹 ゆう
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